人工関節センター

 痛い関節注射や、副作用を心配しながら数種類の薬を長期にわたり試してみたけれど、関節の痛みが改善せず悩み続けている方は多いのではないでしょうか? 日本は超高齢化社会を迎え、変形性関節症により日常生活に支障を来し、健康的な毎日を断念している患者さんが年々増加しております。変形性関節症や関節リウマチなどにより関節の変形が進行し、他の治療法では症状の改善が望めない症例に対し人工関節置換術は広く行われるようになりました。
 人工関節は、傷んだ軟骨や骨の表面を削り、そこに金属やポリエチレンなどでできている部品を骨にしっかりと固定し、関節の痛みや動きを改善させる方法です。膝関節と股関節とも10年経過しても95%以上、30年経過しても80%程度が問題なかったことが報告されております。
 当センターは、この人工関節手術を安定的かつ良好に提供することを目的に2010年(平成22年)5月に開設されました。
 2014年4月には、日本に導入された新型の人工肩関節の使用が開始となり、肩関節の痛みが改善し、挙がらなかった肩が挙げられるようになるのが特徴で、当センターでは全国でも有数の症例数を誇り、安定した治療成績を報告しております。
 2018年12月には新病院に移転し、手術室には高い清潔度を維持できるバイオクリーンルームが2部屋に増設され、ほぼフル稼働で手術を行なっております。
 2019年度の症例数は、再手術例を除けば股関節171例、膝関節183例、肩関節49例となっております。
 入院期間は1〜3週程度で、リハビリは充実した施設およびスタッフ(理学療法士や作業療法士など)により術翌日から開始となり、自宅での生活が可能との判断になった時点で退院となります。退院後も定期的に当科外来を受診していただき、責任を持ってフォローさせていただいております。
 当センターの最大の強みは、整形外科以外の診療科(麻酔科、内科、外科、救命救急科など)の充実により不慮の事態が生じた際でも迅速なサポートが得られることであり、患者さんばかりではなく、私たち医療従事者も心強く感じているところです。
 慢性痛は心へのダメージにも強く影響し、うつ病や脳の萎縮との関連性も報告されておりますので、長期に関節の痛みに悩まされている方はぜひご相談いただければと存じます。

 

関連科 整形外科